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奇岩秀峰が並ぶ中津市耶馬渓町深耶馬。県道２８号沿いの「ドライブイン若山」にある若山温泉は「これぞ耶馬渓」という眺めを四季の移ろいとともに楽しめる絶景の湯である。 　経営する松葉千恵子さん（６２）の両親が４０年前、家族用だった良湯の提供を始めた。名物は山移川沿いの野趣あふれる露天風呂。山々とごろごろとした巨岩が間近に迫る。清流のせせらぎと小鳥のさえずりを聞きながら湯船に体を沈めると、さまつなことも時間も忘れてしまう。 　地下約５００メートルから湧出する源泉は弱アルカリ性単純泉の無色無臭。少し熱めだが「しっとりとしてやわらかい湯」と評判だ。神経痛や筋肉痛、疲労回復などに効能があり、「足腰の痛みが和らぐとよくいわれる。私も湿布を貼ることはほとんどない」と松葉さんは笑う。 　２０年通い続ける北九州市の５０代夫婦は「抜群の開放感にいつも癒やされてます」。中津市耶馬渓町戸原の藤原栄美子さん（３９）と洸太郎さん（１４）＝耶馬渓中３年、桃愛（ももえ）さん（９）＝城井小４年＝親子は初来訪。「とろりとした泉質に感動。気に入りました」とみんな笑顔。 　市内唯一の混浴。常連が８割ほどで県外客も多い。夫と訪れた宮崎県延岡市の女性（６０）は「裸の付き合いができる。おしゃべりしながら１～２時間。楽しいですよ」。母（９０）を伴って訪れた福岡県直方市の三苫隆雄さん（５２）は「一緒に入れるので高齢でも安心です」。 　取材時はサクラの時季。満開の下のぜいたくな時間を過ごした。「ホタルもフジの時季もおすすめです。またいらっしゃい」。太陽のような松葉さんの笑顔にも癒やされた。 （　メモ　／／）　温泉は午前１１時から午後８時まで。混浴の露天風呂の他、男女別の内湯がある。中学生以上３００円、子どもは１５０円（２歳以下無料）。問い合わせは若山温泉（ＴＥＬ０９７９・５５・２０６３）。 地元産たっぷり　季節限定の春ランチも 　若山温泉から車で５分ほど。「小さなお宿つきのほたる」には居心地のいいカフェ「ほたるのしずく」がある。 　地元産や天然の素材などを使い、“体にいい”メニューをそろえる。人気は「原木シイタケの生パスタ」（サラダ、パン付きで千円）。地元のシイタケのオイル漬け、地場のホウレンソウ、スモークベーコン、もちもち感のある麺を使い、ソースは、だしを加えた優しい味付け。他には季節限定春らんまんランチ（要予約）、シカカレーなども。 　営業は土日曜のみ。４月は平日にも営業日がある。問い合わせは、つきのほたる（ＴＥＬ０９７９・５５・２２５９）。