http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20171205/KT171205ASI000006000.php
千曲市が誘致活動をしてきた北陸新幹線(長野経由)新駅構想について、
岡田昭雄市長は5日開会した市議会12月定例会で「誘致運動は本日をもって
いったん区切りを付けたい」と述べ、事実上、誘致を断念する考えを示した。
10月にJR東日本から駅設置は「技術的に難しい」との回答を受け、
複数の専門家からも同様の意見を受けたことから判断に踏み切った。
昨年10月の市長選で岡田市長は、新駅を生かして地域経済の活性化を図り、
将来にわたる財源確保につなげる―と主張し、新駅誘致反対を前面に出した
新人との大接戦を制して再選された。この日の取材に、岡田市長は
「誘致活動に取り組むことは公約に掲げたが、実現できるかどうかは相手のある問題。
区切りを付けることが市長の責任」とし、進退は考えていないと強調した。
岡田市長は市議会の提案説明に先立ち、JRからの回答について、市として、
鉄道工学に詳しい専門家や新幹線の建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設
整備支援機構に意見を聞いた結果、JRの回答は妥当との内容だったと説明。
また、JRが指摘した線路の傾きについて、低減する工事の費用を改めてJRに聞いたところ、
最も安くても駅設置を含めて250億?350億円かかるという回答があったとした。
これらを踏まえ、岡田市長は「新駅設置を進める合理的な理由を見つけることができない」
とし、「市議会や(市が事務局の)新駅誘致期成同盟会、市民のこれまでの努力や
思いを考えると、まさに断腸の思いだが、このまま続けることは許されないと判断した」
と述べた。一方、技術の進歩で将来的に駅設置への課題が克服されることに期待を寄せ、
「その日まで魅力あるまちづくりを進めて未来に希望を託したい」とした。
新駅誘致活動は、旧更埴市時代の1992年から25年にわたって続いてきた。
新駅誘致期成同盟会は今年3月、JR東日本長野支社(長野市)に新駅設置の要望書を提出。
新幹線の五里ケ峯トンネル出入り口付近(A案)と、長野道更埴インター付近(B案)の
2案を候補地として提案したが、10月にJRから設置は「技術的に難しい」と回答があった。