新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本相撲協会は臨時理事会で、今月、大阪市で予定されている大相撲の春場所について「社会全体で感染拡大を防いでいることなどを勘案した」などとして、観客を入れずに開催することを決めました。
相撲協会は、今後、力士などに感染者が出た場合は場所の途中でも中止にする方針です。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府は大規模なイベントの主催者に、今月15日までの間、中止、延期、規模縮小などを行うよう要請し、各競技団体の大会の中止や延期の決定が相次いでいます。
日本相撲協会は1日午後から大阪市で臨時の理事会を開いて今月8日から大阪府立体育会館で始まる春場所について協議しました。
その結果、観客を入れずに開催することを決めました。
大相撲では昭和20年6月の夏場所を非公開で行い、軍人などが見学したケースがありますが、観客を入れずに本場所を開催するのは今回が初めてだということです。
理事会のあと記者会見した日本相撲協会の八角理事長は「政府の要請や社会全体で感染拡大を防いでいることを勘案し、このような判断になった。
専門家の意見などを踏まえて、お客さんには迷惑をかけられないというのがいちばんの理由だ」などと説明しました。
そのうえで「無観客であっても力士の白熱した取組を約束する」と話しました。
また八角理事長は、今後、力士などに感染者が出た場合は、場所の途中でも中止にする方針を示しました。
春場所は前売りのチケットが8時間ほどで完売し、連日およそ7000人の観客が予定されていました。
相撲協会は今後、チケットの払い戻し方法を検討し、ホームページなどで周知するとしています。
■ 「年に1度の大阪場所なのに」「中止でよかったのでは」
大阪 岸和田市の51歳の男性は「国全体で感染防止対策を進める中でしかたがないとは思うが、年に1度の大阪場所なので楽しみにしていた人も多いし、残念です」と話していました。
去年に続いて観戦する予定だったという大阪市の86歳の女性は「去年、生の相撲を見てすごく楽しかった。ことしも楽しみにしていたので残念です。生での応援はできませんがテレビの前で応援するので、力士たちには頑張ってもらいたい」と話していました。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中での春場所の開催に不安の声も聞かれました。
大阪市の37歳の女性は「初日のチケットを購入していましたが、中止になると思っていました。幕下以下の力士の中には電車などを使って会場に来る人もいて感染のおそれがあるので、個人的には中止にしてもよかったのではと思う。相撲ファンとしては複雑です。ただ開催が決まった以上は15日間、力士たちが無事に相撲を取れることを祈っています」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200301/k10012308621000.html
