Q10 昨今の円安と世界的なインフレがビジネスに与える影響について教えてほしい。任天堂は海外で
の売上高が大きいため、円安になれば、売上高が増加すると理解しているが、部材価格の高騰や
インフレを受けての商品の値上げ等は検討しているのか。
A10 古川:
当社は、海外の売上高比率が 8 割近くと非常に高くなっており、円安になりますと海外での売
上高は増えることになります。一方、過去には極端な円高も経験しており、こうした為替の影響
を軽減するために、現在は部材の仕入れの大部分を外貨建てで行っています。円安になると売上
高は増加しますが、同時に外貨建ての仕入れや海外で発生する広告宣伝費、人件費などのさまざ
まな費用も増加することになります。そのため、特に営業利益段階での為替の影響は、売上高段
階における同影響と比較して小さくなります。
また、当社は海外売上高比率が高いことを背景に、多くの外貨建ての預金等を保有しています。
(将来において取引をする為替レートを予め設定する)為替予約等を行っている部分を除く、い
わゆる未予約の外貨建て資産については、その会計年度末の為替レートによって評価損益(為替
差損益)が発生します。この評価損益は営業外収益あるいは営業外費用として計上されます。
世界的なインフレが足元のビジネスに与える影響については、当社の娯楽ビジネスは、これま
でマクロ経済に大きく左右されることはありませんでした。ただし、昨今、非常に急激なスピー
ドでインフレが進んでおり、特に欧米においては、日常の生活に大きな影響を与えていると当社
の海外拠点からも聞いています。現時点で販売状況に大きな影響は出ていませんが、引き続き状
況は注視していきます。
価格戦略についてお話できることはありませんが、現時点で各国におけるインフレや調達コス
トの増加を受けて、当社ハードウェアの価格を変更する予定はございません。今後の価格戦略に
つきましては、慎重な検討を重ねて判断していきます。
https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2022/qa2206.pdf