流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンは5日、2020年の春季労使交渉の要求状況を発表した。パート1人当たりの賃上げ率の要求は4%強で過去最高の水準となった。大企業では4月から、正社員とパートなどの間で不合理な待遇格差を禁じる「同一労働同一賃金」への対応を求められる。パート社員で構成する組合では一時金などに関する要求も目立った。
UAゼンセンは約2300の組合と約180万人の組合員を抱える国内最大の産業別労組だ。パートや契約社員など非正規社員がおよそ6割を占める。
2月末時点の集計ではパート1人当たりの賃上率の要求は4.14%(時給41.1円相当)だ。前身の2組織が統合して12年11月にUAゼンセンが発足してから、最高の要求水準になる。正社員1人当たりの要求(3.25%、月9412円相当)を4年連続で上回った。正社員の要求は前年並みだった。
他の産業では新型コロナウイルスの感染拡大などで足元の企業業績が悪化していることもあり、春季交渉の要求水準が低くなるケースもある。自動車や電機など主要製造業の労働組合でつくる金属労協では賃金改善要求の中間集計が前年を下回った。
UAゼンセンの木暮弘書記長は5日の会見で「新型コロナの感染拡大の影響は一過性の問題。要求方針はこれまでの物価上昇や経済環境を鑑みて策定した」との見解を示し、「こんな状況だからこそ、経済を底支えして成長を継続させていくために賃上げが必要だ」と訴えた。
同一労働同一賃金への対応では、要求書を提出したパートの186組合のうち、70組合が一時金の新設や改善を求めた。退職金制度の新設や改善は32組合、家族手当は29組合、通勤手当は34組合が要求している。
2020/3/5 13:50
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56414170V00C20A3TJ1000/